前回からの続きで、日本の労働生産性の低さの原因を考えてみたいと思います。前回の記事はこちら

具体的にどういったことが、こんな状況を招いてしまったのか、その「戦犯」を私なりに考えてみました。

そして、これはもう、日本人の美徳のひとつとされる「勤勉であること」だけでは解決できないと思います。

日本人の労働生産性が低い10の理由

まじめに考えだすと結構あるんですよね~、思いつくことが山ほど。以下、ドンドン書いていってみます。全て止めるか改善するべきだと考えます。

1. バカげた残業

まずはコレでしょう。2つあります。一つ目はとにかく残業を前提にした業務量になっている。これを見直すこと。もうひとつ、こちらの方が深刻です。若い世代はハナから残業代を生活給としてあてにしている人が多いということ。残業代を積むことで手取り給料を増やしたいというインセンティブが働く制度設計になっていて、これでは「効率化」なんてとても無理です。ダラダラ仕事した方が金銭的に得だということになってしまいます。

2. 成果そのものより努力を称賛する企業文化

仕事はあくまで成果です。もちろん成果だけで評価することは日本の文化に合わないと思います。これについては追々書いていきますが、日本の企業に一番合っているのは「行動」と「成果」の2軸で評価することです。古いタイプの日本の管理職は「よく夜遅くまで努力して頑張った!」等といって、残業を評価したりするダメなマネージャーがまだまだ沢山います。逆に「成果」だけで評価するのも問題です。かなり前になりますが富士通という会社がそれで大失敗しています。「成果」だけで評価すれば良いなら、管理職は「判断」する必要がなくなるので意味がありません。

3. 人間と機械の違いが理解されていない

人間は機械とは違います。一日の最初の1時間と10時間働いたあとの1時間ではパフォーマンスが当然違います。長時間労働により、一時間当たりのアウトプットが減ってしまうことは、様々な科学的調査結果からも明らかにされています。長時間労働は単純に人のモチベーションも下げます。これも立証されています。止めましょう。

4. 効率を重視しないダメ管理職

皆さんの会社でも思い当りませんか?参加人数が多過ぎな上に頻繁に招集される不毛な会議、「誰が読んでるの?」という内容の社内報、大勢にさしたる影響がない部分へ細かい指示を出すマイクロ・マネジメント、等々。挙げていったらキリがありません。こういった事が貴重な社員の時間を無駄にしています。管理職として相応しくないです。

5. 意味不明な社内・業界ルールがある

例えば一時期ネット上で少し話題になった「部下がハンコを押すときは上司側に少し斜めに押して、お辞儀しているように見せる」等という、全く意味不明というか、バカげた自社ルールです。または業界だけに通用する悪しき慣習。例えば「ウチの業界ではメールだけではなく、後で全部ファックスもする」等。こういったことは全て完全に時間の無駄なので止めるべきです。

6. 会社の「お役所化」

上に少し似ているるのですが、一つの目的を達成するために、やたらと手続きの数が多かったり、プロセスが複雑だったりしませんか?これが増えると本来やるべき仕事ではなく「お役所仕事」のように紙の書類ばかりドンドン増えたり、またそれを管理することに膨大に時間を使ったりして全く生産性が上がりません。止めましょう。

7. IT技術を敬遠する

今は多様で便利なテクノロジーやツールが沢山生まれています。しかも、そのIT技術の多くのものは無料だったりもします。利用しない手はありません。スカイプで会議をする、ということは多くの企業が採り入れているようですが、未だに頭の固い企業も沢山あってもったいないです。IT技術を積極的に活用しないということは生産性をあげる簡単なチャンスを見逃しています。

8. 日本の「縦社会」から生まれる非効率

大きな会社に顕著だと思うのですが、日本ではとにかく「偉い人」に気を使い過ぎだと思います。例えば大して重要度が高くない仕事だと皆がわかっているのに「○○本部長の依頼だから、他は置いても大至急やるんだ!」と言って「最重要扱い」になったりすることありませんか?間違っています。仕事には優先度があると理解しましょう。

9. 転職しづらい社会

日本人の8割以上の働いている人が「仕事に満足していない」という統計が出ています。なのに皆、その会社を辞めません。様々な事情や気持の問題があるので、それはそれで本人達の自由です。一方でこういった「辞められない」ことが鬱病などに繋がり社会問題にもなっています。こういった人達を抱えた職場の生産性は当然落ちてしまいます。耐えられない程の不満がある職場に固執するのを止めましょう。過去の記事「転職しづらい日本社会」

10. 解雇しにくい日本の法体制

そもそも労働生産性が低い社員=低いパフォーマンスの社員を、日本の今の労働法ではなかなか解雇できない、ということも大きな理由の一つではないでしょうか。解決策の一つとしては「マイナス査定」も取り入れた「人事評価制度」をつくることだと思います。過去の記事「差をつける人事評価が必要」

日本人の労働生産性が低い最大の理由

上に挙げた「10の理由」の中で「9番、10番」は日本社会全体のことなので、一朝一夕には解決できないとは思います。

でも、その他「1~8番」は従業員と経営陣がやる気になれば、今すぐにでも改善可能です。

しかし、上に挙げてない理由で、もっと根源的で最大の理由があると考えています。

それは、日本の多くの会社が「本気で従業員を大切にする会社」ではないことが、日本人の労働生産性が低い最大の原因だと思うのです。

どういうことか? 次回に続きま~す。

第七候「蟹虫啓戸~すごもりむし とをひらく」

新しい時節の始まりです。「啓蟄(けいちつ)」というのは聞いたことがある方もいるかもしれませんね。土の中に籠っていた虫たちが春の訪れと共に土から出てきて動き出す様子を表しています。

芹と浅蜊のファルファッレ

「芹と浅蜊のファルファッレ・パスタ」

【啓蟄】:3/6日 ~ 3/20日頃】旬のモノ

  • 芹~せり
  • 鰆~さわら
  • 赤貝~あかがい
  • 蛍烏賊~ほたるいか
  • 山葵~わさび
  • 浅蜊~あさり
  • ぜんまい
  • 鰊~にしん

【いま最高に旬な食材を食べて、薬要らず・カゼ知らずのカラダに!】