私のメインの仕事はマーケティングの考え方を基にした社員育成研修を提供することです。
マーケティングの目的はズバリ売上げをあげることです。それ以上でもそれ以下でもありません。
仮に「売上げをあげなくてもいいや」という会社があったとするならば、マーケティングは一切不要です。
マーケティングの大目的はこの通りシンプルで不変ですが、その他に重要な中目的、小目的がいくつかあります。
中くらいの目的は「ブランド力を上げる」というものです。この「ブランド」というもの、実はとっても厄介で難しいモノです。
ブランド力とは?
そもそも「ブランド力」とは何を指しているのでしょうか?
「ブランド力」がある商品・サービスとはどういうモノか考えると分かりやすくなります。
私が考える「ブランド力」とは「同じ商品(原価)・サービス内容であっても他より高い価格で売れる力」です。
例えば私が昔勤めていた、ある外資系のアパレル通販ブランドでは、非常に質の高いポロシャツを製造していました。初めて本社に出張した際に生産担当者と話をして判明したのですが、そのブランドのポロシャツ、なんと、あのラルフ・ローレンと全く同じ工場で生産していたのです。生産工程も生地もほぼ一緒です。違うのは有名なロゴマークがあるかないかぐらいです。価格はRL社のモノは倍以上で売られています。
つまり、全く一緒のポロシャツでも、私達消費者がラルフ・ローレンのポロシャツに対して認識している「価値」が私の古巣のポロシャツよりも倍以上の価値だと「認識」しているということです。
この消費者の、特定の商品・サービスにたいする「価値の認識」が、ブランド力そのものなのです。
では「ブランド力」を高めるには何をしたら良いでしょうか?
実はブランド力を上げる方法は「コレだ!」という画一的なものはありません。様々な企業努力とマーケティング施策の積み重ねによってブランド力は醸成されてゆきます。ブランド力を高めるのにはある一定の時間が必ず必要です。
ブランド力が下がる瞬間
反対にブランド力が下がる瞬間というのは、本当に「あっ」と言う間に訪れます。
これは人が時間をかけて築き上げた「信用」を、一瞬にして失ってしまうことがあるのに似ているかもしれません。
最近で言えば、マクドナルドの食肉偽装問題等はその1例ですね。(ここ数カ月でマックはようやく業績回復の兆しが見えてきましたが。)
もうひとつ、私自身が体験して「あ~、これは多分やっちゃったな」と感じた、ブランド力を低下させているマーケティング施策がありました。
数カ月前に、伊勢丹に買い物に行った時のことでした。店員さんに「Tポイントカードはお持ちですか?」と聞かれたのです。
伊勢丹といえば、一応高級デパートの部類に属する百貨店です。その高級デパートである伊勢丹がTポイントを導入したのは頂けません。(念のためお断りしておきますが、私は別にTポイントが悪いと言っている訳ではありません。)
店員さんに内容を伺ってみると、200円購入毎にTポイントが1点付くそうです。これ、コンビニと一緒の還元率です。
私は普段、そこまで伊勢丹を贔屓にしている訳ではありませんが、もし自分が伊勢丹の上顧客だったと想像すると…..
「わ~~、伊勢丹でTポイントが使えるようになったんだ!嬉しい!!」
とは、絶対にならないでしょう。
ブランド力を下げないために
顧客がある特定のブランドに魅力を感じるのは「他ではない価値がある」と「認識」しているからです。
今回の伊勢丹のミス(後で調べたら、今は会社が三越伊勢丹として合併しているので、三越でもTポイントが付くそうです!)は明らかです。
顧客の視点から考えれば、伊勢丹や三越でお買い物をして、最後にいちいち「Tカードはお持ちでしょうか?」と聞かれることは煩わしいだけです。そして、Tポイントはコンビニでもネット通販でも広く採用されている「どこにでもある」ポイント制度です。
自社を「高級デパート」を標榜する以上、顧客をコンビニやネット通販と同じ土俵に乗せてしまってはダメです。ブランド力を自ら低めてしまっています。
ポイント制度そのものが悪いとは思いません。安易に世間に広く使用されているポイント制度に乗っかってしまったのが失敗だと思います。
百貨店は軒並み業績が伸びずに苦労していますが、今後、こういった「ブランド毀損」施策を続ける限り、あまり未来は明るくないかもしれませんね。
皆さんの会社の商品・サービスは大丈夫ですか?
【処暑】8/23~9/6
ようやく暑さも落ち着き、朝夕には涼しい風を感じることができる時節です。虫も鳴き始める頃で、本格的な台風シーズンの到来時期になります。
旬のモノ
- 平政~ひらまさ
- パフリカ
- 櫨~はぜ
- 鯣烏賊~するめいか
- 無花果~いちじく
- 鰯~いわし
- 茄子~なす
- 酢橘~すだち
【いま最高に旬な食材を食べて、薬要らず・カゼ知らずのカラダに!】